2016.08.10

第3回 観光・まちおこし・ひとづくりワーキンググループ

観光・まちおこし・ひとづくりワーキンググループ8月8日(月)、第3回観光ワーキンググループ会議が開催されました。

今回のテーマは ”アイヌの食文化と観光の可能性について考える”。

堺町生活館 アイヌ生活相談員の堀悦子さんと八重樫志仁さんお二方にご登壇いただき、アイヌ料理の調理体験&試食会、浦河のアイヌ民族の習俗に関する貴重な映像資料、 堀さん自らのアイヌ文化との関わりについてのお話、Rehe Isamという任意団体を今年春立ち上げた八重樫さんの取組についてのお話、意見交換会などなど非常に密度の濃い会になりました。

0810_2浦河地方にもアイヌ民族の方々がかつては多く住まい、浦河の豊かな自然と共生してきた歴 史があります。
しかしながら明治政府の同和政策や差別の歴史を経て、その土地に根付いていたアイヌ文化が失われつつあるのが現状です。こうした状況の中、 アイヌ民族の文化継承・アイデンティティの復興のために八重樫さんが立ち上げたRehe Isam(レヘイサム…アイヌ語で『名無し』の意)。この春の立ち上げから、アイヌ料理講習会や1泊2日の体験事業などを実施されています。

アイヌ文 化を地域資源として捉えなおし、観光資源に昇華させていく。浦河の自然に息づいたアイヌ文化は、今後浦河町での『観光まちづくり』の中の大事なピースを成 していくと考え、今回の実施に至りました。

0810_6まずは『食』という切り口から!ということでアイヌ料理の調理体験。今回つくったのは堀さんのご実家・姉茶の遠山家に伝わる貴重なアイヌ料理のレシピの中 から、キンキのチタタプ(たたき)、チボルシト(白玉団子のイクラがけ)、チェプオハウ(鮭のお汁)、とうきび・いなきびご飯、トゥレプ(オオウバユリ) の塩炊き、プクサ(行者ニンニク)の醤油漬け。
脂ののったキンキを目や骨も余すことなく、生臭みを消すために焼き昆布やネギを合わせて包丁でたたいていきます。これがまたお酒によく合いそうなお味。

堀さんの作るアイヌ料理は味噌や醤油は使わず、ほとんど素材の味と少しのお塩で味付けされています。どれも素 材を生かしたとても優しい味で、なんだか身体が浄化されていくような感覚。その季節にしか獲れない旬のものを、それぞれの特長を生かして調理するのでどれ も美味しくて、本当に贅沢な時間だったように思います。

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最後の意見交換会の時間は、活発にアイディアやそれ ぞれの思いが飛び交い、予定時間を大幅にオーバーしてしまうほど。長い差別の歴史やかつて『観光アイヌ』と揶揄されステレオタイプ化されてきた歴史を鑑み ると、アイヌ文化をとりまく問題は非常に根深く、いつも向き合い方を考えさせられます。しかしながら、アイヌ料理は美味しいし、アイヌ文様は美しい。最近 ではAinu Designと呼ばれ、外国人からの人気も高いようです。(私も堀さんからアイヌ文様の刺繍を習い始めました!)純粋に、いいものはいい。あれこれと複雑 に考えすぎてなにも出来ないよりかは、きっと単純に、ポジティブに、前に進むべきなのだと感じさせられました。

なにより嬉しかったのは、堀さん・八重樫さんのお二方に『やってよかった』『本当にいい機会だった』と半ば興奮交じりにおっしゃっていただいたこと。とても充実した3時間半でした。

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